河北新報Online:世界遺産・東寺も油?被害 計12カ所に

記事要約

 京都府奈良県の寺社などで油のようなものがまかれた事件で、新たに京都府世界遺産である東寺も同様の被害にあっていたことが判明した。これにより、同様の被害にあった寺社の総数は計12か所となった。

疑問

 犯人は一体何を考えてこの事件を起こしたのか?また、犯人に繋がる手がかりは?

考え・主張

 犯人は未だ見つかっておらず、犯人に繋がる手がかりもこの記事からは読み取れない。だが、ある程度の推測をしてみようと思う。
 海外では、某過激派組織と関連してイスラム教信者がこの事件を引き起こしたとする推測があるようだ。仏教や神道を基とする寺社や神社が被害にあっていることがその理由だと思われるが、決定的な理由ではない。また、日本に恨みを持った朝鮮人がこの事件を起こしたという推測もあるようだが、確証に至る証拠があるわけではない。
 ここで考えるべきなのは、なぜ犯人は“油”を使ったのかという点だ。寺社などに使われている木材は劣化していて、油をかけられただけでも修復が大変である。そのことを知っていてわざわざ油を選んだというのなら、愉快犯がこれをやったという可能性は低いだろう。また、本当に日本に恨みを持っているというのなら、寺社を燃やすなり他にも方法はあったはずだ。『油を撒く』という嫌がらせ(と言えるほど軽いものではないが)のようなことをしたからには、組織による犯行とは考えにくい。
 いくら無宗教とはいえ、多くの日本人は、寺社や神社を傷めつけることに罪悪感を覚えるはずだ。祟りなどの宗教的な罰はともかく、伝統的な文化財を壊すことには後ろめたさを感じるはずである。同じ日本人がこの事件を起こしたとは考えたくないものだ。
 何はともあれ、一刻も早い犯人の確保と、再発防止のための警備を徹底してほしいと思う。