河北新報Online:黒人暴動で非常事態宣言 米東部、警察と衝突

記事要約

 アメリカのボルティモアで警察に逮捕された黒人男性が脊髄を損傷し死亡、4月27日、その葬儀が行われた。これに対し、黒人主体の地元住民たちは警察の不適切な対応が死亡につながったと抗議。警察と衝突して一部が暴徒化した。

疑問

 警察と地元住民たちはなぜ衝突することになってしまったのか?

考え・主張

 アメリカにおける白人警官と黒人住民の衝突は今に始まったことではなく、昔から一部が衝突し続けていた。大戦直後と比べ、現在は少し収まったとも言えるが、それでも一部の間では黒人に対する差別の意識が根強い。
 このニュースにおいても、また他の事件においても、暴力とそれに対する報復によって引き起こされた事件というのは間違いないだろう。黒人に対する人種差別撤廃を訴え、尽力し続けたキング牧師は、徹底的な非暴力主義により社会に抗議し続けた。今回の事件のような衝突は、彼が最も望まない抗議行動であったことだろう。
 アメリカで広く信仰されているキリスト教的立場においても、今回のような事件はやはり間違っていると言える。『右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ』『汝の敵を愛せよ』というのがキリスト教の本来の教えであり、暴力に報復で返しても争いしか生まないことを表している。今回のような事件が起こりうる社会では、根強い黒人差別を完全になくすことは難しいと言わざるをえないだろう。